人工代(にんくだい)とは?相場の目安・消費税・請求書の書き方
人工代(にんくだい)とは
人工代(にんくだい)とは、職人さんが働いた分の手間賃を、人工(にんく)という単位で数えて払う代金のことです。人工は「職人さん1人が1日働いた量」を1とする数え方で、2人で3日入れば6人工、1人で半日なら0.5人工と数えます。人工代は、この人工の数に1人工あたりの単価をかけて出します。
人工代 = 人工単価 × 人工数
建設の現場では、材料は元請・上位会社が用意して、職人さんの手間だけを日数で払う取引がよくあり、この取引を常用(じょうよう)と呼びます。常用の請求書に書く金額が人工代で、「常用代」「手間賃」「応援代」と呼ぶ会社もあります。常用の請求書の書き方は → 常用(人工代)の請求書の書き方 で書いています。
人工(にんく)の数え方
人工は、1人が1日の決まった時間働くと1人工です。半日なら0.5人工、2人で1日なら2人工になります。現場ごとに、誰が何日入ったかを記録したものが出面(でづら)で、月末に出面の人工を合計して人工代を出します(→ 出面・出面表とは)。
| 働き方 | 人工数 |
|---|---|
| 1人が1日 | 1 |
| 1人が半日 | 0.5 |
| 3人が1日 | 3 |
| 2人が5日 | 10 |
| 1人が1日+残業2時間 | 1+残業分(取り決めによる) |
何時から何時までを1日とするか、半日を0.5とするか時間で割るか、残業や夜間・休日を何割増しで数えるかは、法律で決まっているわけではなく、元請・上位会社との取り決めで決まります。注文書や前回の請求書で、数え方を確かめてから計算します。
人工代・人工単価・常用の違い
似た言葉が多いので、整理しておきます。
| 言葉 | 意味 | 例 |
|---|---|---|
| 人工(にんく) | 職人さん1人が1日働いた量 | 3人で2日なら6人工 |
| 人工単価 | 1人工あたりの値段 | 1人工 25,000円 |
| 人工代 | 人工単価×人工数の代金 | 25,000円×6人工=150,000円 |
| 常用(じょうよう) | 人工代で請求する取引の形 | 手間だけを日数で請求する |
| 請負(出来高) | 工事の完成や進み具合で請求する取引の形 | 契約金額×進み具合 |
同じ会社でも、現場によって常用と請負が混ざっていることはよくあります。請負の現場の請求の仕方は → 出来高の請求書の書き方 にまとめています。
人工代の相場の目安
人工代は取引ごとに決めるもので、決まった相場はありません。目安として使えるのが、国土交通省が毎年公表している公共工事設計労務単価です。公共工事の予定価格を積算するときに使う、職種ごとの1日8時間あたりの賃金で、令和8年3月から適用されている単価の全国平均は次のとおりです(出典:国土交通省)。
| 職種 | 全国平均(1日8時間) | 前年からの伸び |
|---|---|---|
| 大工 | 30,331円 | 3.1% |
| とび工 | 30,780円 | 4.0% |
| 鉄筋工 | 31,267円 | 4.6% |
| 型わく工 | 31,671円 | 5.0% |
| 左官 | 30,508円 | 4.1% |
| 特殊作業員 | 28,111円 | 4.3% |
| 普通作業員 | 23,605円 | 3.0% |
| 軽作業員 | 18,605円 | 2.9% |
| 全職種の平均 | 25,834円 | 4.5% |
金額は加重平均、伸びは令和7年3月と比べた単純平均で、全職種の平均は初めて25,000円を超えました。
この単価をそのまま民間の人工代の相場として使うことはできません。設計労務単価は職人さんに払う賃金にあたる額で、時間外・休日・深夜の割増、法定福利費の事業主負担分、道具や車の費用、会社の経費は入っていないからです(出典:国土交通省)。一人親方や専門工事会社が請求する人工代には、こうした費用も入るので、同じ職種でも設計労務単価とは違う金額になります。また、単価は都道府県ごとに決められていて、同じ職種でも地域で差があります。
実際の取引では、職種、地域、経験、道具や車を持ち込むかどうか、交通費や駐車場代を別に請求するか、残業をどう数えるかで人工単価が決まります。単価を見直したいときは、設計労務単価の上がり幅を話のきっかけにして、元請・上位会社と相談する会社もあります。
人工代と消費税
人工代は、職人さんの手間という役務の提供の対価なので、事業として受け取るなら消費税の課税の対象になります(出典:国税庁 タックスアンサー No.6105、No.6117)。請求書には、人工代の合計に消費税を足して書くのが基本です。
| 内容 | 金額 |
|---|---|
| 人工代(25,000円×20人工) | 500,000円 |
| 消費税(10%) | 50,000円 |
| 合計 | 550,000円 |
一人親方の場合、インボイスの登録をしているかどうかで、請求書の書き方や元請・上位会社の扱いが変わります。消費税を請求していいのか、登録していないとどうなるのかは → 一人親方の請求のよくある疑問 でまとめています。
人工代の勘定科目
人工代を払う側では、協力会社や一人親方に払う人工代は「外注費」で処理するのが一般的です。ただし、一人親方への支払いでも、実際の働き方が雇用に近いと、外注費ではなく給与として扱われることがあります。
国税庁は、大工・左官・とび職などへの報酬が、事業の報酬(外注費)なのか給与なのかを判断するときに、次のような点を総合的に見るとしています(出典:国税庁 法令解釈通達「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて」、消費税法基本通達1-1-1)。
| 見るところ | 外注(事業)に近い | 給与に近い |
|---|---|---|
| 代わりの人を立てられるか | 立てられる | 本人でないといけない |
| 時間の拘束 | 作業時間の指定がない | 時間の指定があり、時間で報酬を計算する |
| 指揮監督 | やり方を自分で決める | 作業の内容や方法を指示される |
| 完成前に壊れたとき | すでにした分の報酬を請求できない | 請求できる |
| 材料・道具 | 自分で用意する | 払う側から渡される(釘などや手持ちの道具は除く) |
給与と判断されると、源泉徴収が必要になり、消費税の仕入税額控除も使えなくなります。実際の判断は契約や働き方によって変わるので、迷うときは顧問の税理士に確かめてください。
人工代を受け取る一人親方の側では、人工代は売上(事業所得の収入)になります。
人工代の請求書の書き方
常用の請求書では、現場ごとに、人工単価と人工数を分けて書きます。人工代だけを一行で書くより、元請・上位会社の担当者が出面と照らして確かめやすくなり、問い合わせが減ります。
| 品名 | 数量 | 単位 | 単価 | 金額 |
|---|---|---|---|---|
| 〇〇ビル新築工事 常用(10/1〜10/31) | 20 | 人工 | 25,000 | 500,000 |
| 同 残業(2時間×4日) | 1 | 人工 | 25,000 | 25,000 |
| 小計 | 525,000 | |||
| 消費税(10%) | 52,500 | |||
| 合計 | 577,500 |
残業を2時間で0.25人工と数える取り決めなら、2時間×4日で1人工になります。この割合は取り決めで違うので、上の数字は計算の例です。元請・上位会社の指定の書式がある場合はその書式に合わせ、指定がなければ自社の書式で出します。書き方の詳しい手順とひな形は → 常用(人工代)の請求書の書き方 に置いています。
建設業の請求事務を任せたいとき
RY consulting は、一人親方や小さな専門工事会社の、毎月の請求書づくりを代わりにお引き受けしています。御社にお願いするのは、出面を LINE で撮って送っていただくことだけで、手書きの出面表でも大丈夫です。まだ出面が届いていない現場や職長さんはこちらからお知らせし、元請・上位会社の指定の書式があればその書式で、なければいつもの書式で、現場ごとに人工代の請求書をお作りします。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LP の料金の欄を見ていただければ全部わかります。契約期間の縛りもありません。月末の請求書づくりをどうにかしたいと思われたら、LINE でひとこと送ってください。
出典
- 国土交通省「令和8年3月から適用する公共工事設計労務単価について」(令和8年2月17日) https://www.mlit.go.jp/report/press/tochi_fudousan_kensetsugyo14_hh_000001_00337.html
- 国土交通省 報道発表資料(職種別の全国平均値・単価に含まれないもの) https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001981942.pdf
- 国税庁 タックスアンサー No.6105 課税の対象 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6105.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.6117「資産の譲渡等」とは https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/shohi/6117.htm
- 国税庁 法令解釈通達「大工、左官、とび職等の受ける報酬に係る所得税の取扱いについて」(平成21年12月17日) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kobetsu/shotoku/shinkoku/091217/01.htm
- 国税庁 消費税法基本通達1-1-1(個人事業者と給与所得者の区分) https://www.nta.go.jp/law/tsutatsu/kihon/shohi/01/01.htm