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常用(人工代)の請求書の書き方|人工単価×人工数の計算と記入例

常用の請求書とは

常用(じょうよう)の請求書は、職人さんが現場に入った日数、つまり人工(にんく)の数に、元請・上位会社と決めた人工単価を掛けて、ひと月分の人工代を請求する書類です。仕上がった量で請求する請負(出来高)とちがって、何をどれだけ仕上げたかではなく、何人が何日入ったかで金額が決まります。

常用の請求額は、基本の形にすると次の式になります。

  • 人工代 = 人工単価 × 人工数
  • 請求額 = 人工代 + 割増(残業・夜間・休日など)+ 実費(駐車場代など、請求できると決めたもの)+ 消費税

「人工を出す」「応援に行く」と呼ばれる働き方も、請求の仕方は同じです。一人親方として上位会社の現場に入る場合も、職人さんを何人か連れて入る専門工事会社の場合も、出面(でづら)に書いた日数がそのまま請求の元になります。出面と出面表のつけ方は → 出面・出面表とは、人工代そのものの考え方は → 人工代とは で書いています。

常用と請負では、請求書に書く中身がこれだけちがいます。

常用請負(出来高)
金額の決め方人工単価 × 人工数契約金額 × 進み具合
元になる書類出面表・日報注文書・内訳書
毎月変わるもの入った人数と日数進み具合(%)
よくあるずれ出面の数え間違い・半日の扱い上位会社の査定で%が下がる

請負で進み具合に応じて請求するときの書き方は → 出来高の請求書の書き方 で書いています。

常用の請求書に書く項目

常用の請求書に決まった様式はありませんが、上位会社の側で経理の処理と消費税の仕入税額控除ができるように、インボイス(適格請求書)の記載事項を入れておくのが今の基本です。国税庁が示している記載事項は次の6つです(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)。

インボイスの記載事項常用の請求書での書き方
交付先の氏名・名称上位会社の会社名(「御中」をつける)
自社の氏名・名称と登録番号屋号・会社名と、T から始まる登録番号
取引年月日「2026年10月1日〜10月31日分」のように期間で
取引内容現場名と「常用 人工代」など
税率ごとの対価の合計と税率10%対象の合計
税率ごとの消費税額10%の消費税額

このほかに、実際の請求でほぼ必ず入れるのは、請求日、請求書番号、上位会社の注文番号や工事番号、振込先、支払期日です。上位会社によっては、職長さんの名前や、注文書と同じ工事名で書くことを決めていることもあるので、最初の1枚は注文書と見比べて書くと、あとで差し戻されずに済みます。

登録番号がない免税事業者の一人親方の場合は、インボイスの記載事項はそろいませんが、請求書は出せます。消費税をどう書くか、上位会社からどう言われることが多いかは → 一人親方の請求のよくある疑問 にまとめています。

人工数の数え方

人工数は、出面表から現場ごと・職人さんごとに日数を数えて足したものです。1人が1日入れば1人工、2人が5日入れば10人工になります。ここで数え方を上位会社とそろえておかないと、毎月のずれの元になります。

場面よくある数え方決めておくこと
半日だけ入った0.5人工何時までなら半日か
雨で午前中止0.5人工、または請求しない中止の日の扱い
早出・残業時間で別に請求1時間あたりの単価、何分から数えるか
夜間割増した単価で1人工割増の率か金額
日曜・祝日割増した単価で1人工休日の割増の有無
見習いの職人さん別の人工単価職人さんごとの単価

割増の率や残業の単価は、法律で決まった率があるわけではなく、上位会社との取り決めで決まります。注文書や常用の単価表に書いてあればそのとおりに、口約束のままになっているなら、一度メールか書面で残しておくと、請求のたびに迷わずに済みます。

計算の例

2026年10月分、ひとつの現場に職人さん2人で入った月の例です。人工単価22,000円(税抜)、残業は1時間3,500円、夜間は1人工27,500円、日曜は1人工26,400円という取り決めとします。

内容数量単位単価金額
常用 人工代(通常)33人工22,000726,000
常用 人工代(半日 0.5人工×2回)1人工22,00022,000
残業12時間3,50042,000
夜間2人工27,50055,000
日曜1人工26,40026,400
駐車場代1式8,0008,000
小計(10%対象)879,400
消費税(10%)87,940
合計967,340

消費税は、行ごとに計算して足すのではなく、10%対象の小計にまとめて1回だけ掛けて、端数を処理します。インボイスでは、1枚の請求書につき税率ごとに1回だけ端数処理をする決まりで、行ごとに端数処理をして合計する書き方は認められていません。切り捨て・切り上げ・四捨五入のどれにするかは自分で決めてかまいません(出典:国税庁 タックスアンサー No.6371)。

半日を「0.5人工×2回」のように1行にまとめるか、通常の人工に足して「34人工」と書くかは、上位会社の出面の数え方に合わせます。上位会社の出面と並べたときに同じ数字になっている書き方がいちばん通りやすいです。

現場ごとに分ける

同じ上位会社に、2つ以上の現場で人工を出した月は、請求書を現場ごとに分けるか、1枚の中で現場ごとに小計を出すのが基本です。上位会社の側では、人工代を現場ごとの原価として振り分けるので、現場が混ざった請求書は、経理か現場の担当者が分け直すことになり、問い合わせや差し戻しの元になります。

上位会社の決まり書き方
現場ごとに1枚現場の数だけ請求書を作る。消費税も1枚ごとに計算
1枚で現場ごとに小計明細を現場ごとに区切り、現場ごとの小計を出してから全体の消費税
指定請求書がある指定の書式の「工事名」「注文番号」の欄に合わせて現場ごとに

指定請求書の書き方や、締め日・必着日のことは → 建設業の請求書の書き方 で書いています。

出面と突き合わせる

常用の請求でいちばん多い差し戻しは、請求書の人工数と、上位会社の側で数えた出面の数が合わないことです。上位会社は、職長さんが付けた出面や入場の記録と、届いた請求書を並べて確かめるので、こちらの数え間違いがあると、その月の支払いがまるごと翌月に回ることもあります。

請求書を出す前に、次のことを確かめておくと、差し戻しがかなり減ります。

  • 出面表の日数と、請求書の人工数が同じか(半日を足し忘れていないか)
  • 雨で中止になった日を、請求していないか、取り決めどおりに請求しているか
  • 職人さんの入れ替わりがあった日を、二重に数えていないか
  • 残業の時間を、取り決めの単位(15分・30分など)で丸めているか
  • 先月分で請求し忘れた日を、今月に足すときは、分かるように別の行にしているか

手書きの出面表を写真で見ながら数えると、どうしても見間違いが出ます。月の途中で、1週間ごとに数えておくだけでも、月末にまとめて数えるより楽になります。

交通費・駐車場代などの実費

駐車場代、高速代、材料の立て替えなどを人工代と一緒に請求できるかどうかは、上位会社との取り決めしだいです。「人工単価に込み」という取り決めなら別に請求できませんし、「駐車場代は実費精算」と決まっていれば、明細に行を足して請求します。

実費を請求するときは、領収書の写しを添えるか、日付と金額を一覧にして添えると、確かめる側が楽になります。消費税の扱いは、立て替えたお金を預かったまま渡すのか、自分の売上として請求するのかで変わることがあるので、決めかねるときは顧問の税理士さんに確かめてください。

印紙と、控えの保存

請求書そのものには、印紙は要りません。ただし、人工代を現金で受け取って領収書を出すときは、5万円以上の領収書に印紙が要ります(売上代金の受取書は、5万円以上100万円以下で200円)。請求書に「代済」「了」などと書いて受け取ったことを示した場合も、受取書として扱われます(出典:国税庁 タックスアンサー No.7105)。

出した請求書の控えは、法人は確定申告書の提出期限の翌日から原則7年間(出典:国税庁 タックスアンサー No.5930)、青色申告の個人事業者は、請求書の控えは5年間、帳簿は原則7年間の保存です(出典:国税庁 タックスアンサー No.2070)。インボイスに登録している場合は、出したインボイスの控え(写し)を、個人でも7年間保存します(出典:国税庁 インボイスQ&A 問79)。メールで PDF を送ったものは、印刷ではなく電子データのまま保存します。

税金の扱いで迷う点は、それぞれの事情で答えが変わるので、顧問の税理士さんなど専門家に確かめてください。

建設業の請求事務を任せたいとき

RY consulting は、一人親方・小さな専門工事会社の毎月の請求書づくりを、代わりに引き受けています。出面を LINE で撮って送っていただくだけで(手書きの出面表でも大丈夫です)、元請・上位会社の指定の書式、指定がなければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用の人工代も、出来高の請求も扱います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LP の料金の欄ですべてわかります。契約期間の縛りはありません。

出典

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