LINEで相談する

建設業の請求書の書き方|常用・請負の書き分けと記入例、無料テンプレート

建設業の請求書の特徴

建設業の請求書は、ほかの業種の請求書と書く項目そのものは大きく変わりませんが、現場(工事)ごとに分けること、元請・上位会社が書式や締め日を決めていること、毎月の金額の決まり方が常用と請負でまったくちがうことの3つが、この業界ならではのところです。一人親方も、職人さんを何人か持つ専門工事会社も、請求書を出す相手はたいていすぐ上の会社で、その会社の決まりに合わせて書くことになります。

建設業ならではのこと請求書への影響
現場ごとに原価を分ける現場ごとに1枚か、現場ごとの小計が要る
元請・上位会社が書式を決めている指定請求書で出す。会社ごとに書式がちがう
締め日と必着日がある遅れると支払いが翌月回しになる
常用と請負がある人工で数えるか、進み具合で数えるかがちがう
工事が数か月続く前回までの請求額と残りを書くことがある

常用と請負の書き分け

常用は、職人さんが現場に入った人工の数に人工単価を掛けて請求します。請負は、注文書の契約金額のうち、その月までに仕上がった分(出来高)を請求するか、工事が終わったときにまとめて請求します。同じ上位会社でも、現場によって常用だったり請負だったりするので、注文書でどちらの契約かを先に確かめます。

常用請負(出来高)
金額の元人工単価 × 人工数契約金額 × 進み具合
毎月の元の書類出面表・日報注文書・内訳書・進み具合
明細の書き方通常・半日・残業・夜間・休日の行内訳書の項目ごとの進み具合
前回までの額書かないことが多い書く(累計と前回までの差)
よくあるずれ出面の数え間違い上位会社の査定で進み具合が下がる

常用の請求書の細かい書き方(半日や割増の扱い、出面との突き合わせ)は → 常用(人工代)の請求書の書き方、出来高の計算は → 出来高の請求書の書き方 で詳しく書いています。

請求書に書く項目

請求書に法律で決まった様式はありませんが、元請・上位会社が消費税の仕入税額控除を受けられるよう、インボイス(適格請求書)の記載事項を満たして出すのが今の基本です。国税庁が示している記載事項は、交付先の氏名・名称、自社の氏名・名称と登録番号、取引年月日、取引内容、税率ごとの対価の合計と適用税率、税率ごとの消費税額の6つです(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)。

建設業では、この6つに加えて次の項目を入れるのがふつうです。

項目書き方なぜ要るか
工事名・現場名注文書と同じ名前で上位会社が現場の原価に振り分ける
注文番号・工事番号注文書にある番号をそのままどの注文の請求かを紐づける
対象の期間「10月1日〜10月31日分」、締め日で区切る締めで区切って数える
契約金額・前回までの請求額・残り請負のとき請求しすぎ・請求漏れを防ぐ
振込先・支払期日口座は名義まで振込の間違いを防ぐ
内訳・法定福利費求められたとき元請・上位会社の確かめに使う

消費税は、明細の行ごとではなく、税率ごとの合計に対して1枚につき1回だけ端数処理をします(出典:国税庁 タックスアンサー No.6371)。切り捨てにするか四捨五入にするかは自分で選べますが、指定請求書に計算式が入っているときはそれに従います。

記入例

請負の現場で、契約金額200万円(税抜)、前月までに30%分を請求済み、今月末で進み具合が60%になった月の例です。今月は追加工事が5万円あったとします。

内容金額
契約金額2,000,000
今月末までの出来高(60%)1,200,000
前回までの請求額(30%)600,000
今回の出来高600,000
追加工事50,000
小計(10%対象)650,000
消費税(10%)65,000
今回の請求額715,000
契約金額の残り(税抜)800,000

前回までの請求額と残りを書いておくと、上位会社の担当の方が、契約のどこまでが請求済みかをひと目で確かめられます。追加工事は、本体の契約と混ぜずに別の行にし、追加の注文書があるならその番号も書きます。常用の現場の記入例は → 常用(人工代)の請求書の書き方 に載せています。

指定請求書といつもの書式

元請・上位会社の多くは、自社の指定請求書を決めています。指定があるときは、いつもの自分の書式で出しても受け付けてもらえず、書き直しになることがあります。取引が決まったときに、指定請求書の有無、書式の入手先、出し方(郵送・メール・システムへの登録)を一度に確かめておくと、最初の月に慌てずに済みます。

上位会社の決まり出し方
指定請求書(紙・Excel)がある指定の書式に入れて郵送かメール。欄の名前に合わせて書く
請求をシステムで受け付けている決められた画面に入力し、請求書を添付する
指定なしいつもの自分の書式で。上の項目をそろえる

何社かから仕事をもらっていると、書式も締め日もそれぞれちがうので、上位会社ごとに「書式・締め日・必着日・出し方・支払日」を一覧にしておくと、月末にどれかを忘れることが減ります。

締め日と必着日

元請・上位会社の多くは、「月末締め・翌月5日必着」のように、請求の締め日と、請求書が届いていなければいけない日を決めています。必着日に間に合わないと、その月の請求は翌月回しになり、入金が丸々ひと月遅れることがあります。現場に出ている社長や親方が、月末の夜に請求書を書いて郵送に間に合わなかった、というお話は本当によく伺います。

締め日と必着日のあいだが数日しかない上位会社には、次のように準備しておくと間に合いやすくなります。

  • 出面は月末にまとめてではなく、1週間ごとに数えておく
  • 請負の現場は、月末の数日前に進み具合の見込みを決めておく
  • 郵送なら、必着日の2〜3日前には投函する
  • 指定請求書は、先月のものを写して下書きしておき、数字だけ入れ替える

内訳と法定福利費

元請・上位会社によっては、請求書やその元になる見積書で、法定福利費を内訳として分けて書くよう求められます。国土交通省は、下請の会社が上の会社に出す見積書で、総額に含まれる法定福利費を内訳として示すようにすすめていて、基本の算出方法は「労務費の総額×法定保険料率」です。対象になるのは、健康保険(介護保険を含む)・厚生年金保険・雇用保険の事業主負担分です(出典:国土交通省「法定福利費を内訳明示した見積書の作成手順」)。

見積書で法定福利費を分けているなら、請求書でも同じ分け方で書くと、上位会社が見積書と見比べやすくなります。請求書への書き方と計算の例は → 法定福利費の請求書への書き方 にまとめています。

インボイスと、登録していないとき

元請・上位会社が仕入税額控除を受けるには、原則として登録番号の入ったインボイスの保存が要ります。登録していない免税事業者からの仕入れについては、令和13年(2031年)9月末までは、インボイスがなくても仕入税額相当額の一定割合を控除できる経過措置があります(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)。控除できる割合は、令和8年(2026年)10月1日から令和10年9月末までが70%、令和10年10月から令和12年9月末までが50%、令和12年10月から令和13年9月末までが30%です(出典:国税庁「インボイス制度に係る経過措置が変わります」)。割合が下がるたびに、上位会社から登録や消費税の扱いについて話があったときは、その時点の国税庁の案内と、顧問の税理士さんに確かめてください。一人親方からよくいただく疑問は → 一人親方の請求のよくある疑問 にまとめています。

印紙と保存期間

請求書には印紙は要りません。代金を現金で受け取って領収書を出すときは、5万円以上のものに印紙が要り、請求書に「代済」「了」などと書いて受け取ったことを示したものも、受取書として扱われます(出典:国税庁 タックスアンサー No.7105)。

事業の形請求書の控えの保存出典
法人確定申告書の提出期限の翌日から原則7年国税庁 No.5930
個人(青色申告)5年(帳簿は原則7年。インボイスに登録していれば、出したインボイスの控えは7年)国税庁 No.2070・インボイスQ&A 問79

メールで PDF を送ったものや、上位会社のシステムでやりとりしたものは、電子データのまま保存します。

出す前に確かめること

  • 宛先の会社名が、注文書の発注者名と同じか(支店・営業所まで)
  • 工事名と注文番号が、注文書と同じか
  • 常用は人工数が出面と合っているか、請負は前回までの請求額が先月の請求書と合っているか
  • 消費税を小計に1回だけ掛けているか
  • 登録番号と振込先に書き間違いがないか
  • 必着日に間に合う日に出せるか

税金や契約の扱いで迷う点は、それぞれの事情で答えが変わるので、顧問の税理士さんなど専門家に確かめてください。

建設業の請求事務を任せたいとき

RY consulting は、一人親方・小さな専門工事会社の毎月の請求書づくりを、代わりに引き受けています。出面を LINE で撮って送っていただくだけで(手書きの出面表でも大丈夫です)、元請・上位会社の指定の書式、指定がなければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用の人工代も、出来高の請求も扱います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LP の料金の欄ですべてわかります。契約期間の縛りはありません。

出典

LINEで相談する