注文請書とは?印紙がいる場合と金額一覧(建設工事の軽減措置は2027年3月まで)
元請・上位会社から注文書が届いて、注文請書を返すときに「印紙はいるのか」「いくら貼るのか」で手が止まる方は多いと思います。このページでは、注文書と注文請書の違い、注文請書に印紙がいる理由とどちらが貼るのか、建設工事の軽減措置を使った金額、印紙がいらない場合をまとめます。制度の内容は2026年10月29日時点のものです。
注文請書とは
注文請書(ちゅうもんうけしょ)は、注文を受けた側が「この内容でお受けします」と返す書類です。建設の仕事では、元請・上位会社が工事の内容・代金・工期を書いた注文書を出し、下請がそれに注文請書を返す、という形でよく使われます。
| 書類 | 出す人 | 中身 | 印紙 |
|---|---|---|---|
| 注文書 | 元請・上位会社(頼む側) | 工事を頼む申し込み | 原則いらない |
| 注文請書 | 下請(受ける側) | 申し込みを受けた承諾 | 契約書として必要 |
建設業法では、請負契約を結ぶときに、工事の内容・代金・工期など決められた事項を書面に書き、署名か記名押印をして互いに渡すことになっています(第19条)。注文書と注文請書の取り交わしは、この書面として使われる形の一つです。注文書が届いたのに請書を返さないまま工事に入ると、あとで代金や工期の食い違いが出たときに、確かめるものがなくなります。
注文請書には、届いた注文書と同じ内容を書いて返すのが基本です。元請から書式が送られてくる場合は、その書式に記入して返します。
| 書く項目 | 書き方のポイント |
|---|---|
| 宛名 | 注文書を出した元請・上位会社 |
| 工事名・場所 | 注文書の表記に合わせる |
| 請負代金 | 税抜の額と消費税額を分けて書く(印紙の額に関わる) |
| 工期 | 着手と完成の時期 |
| 支払いの条件 | 締め日・支払日・支払い方法 |
| 日付・署名か記名押印 | 請けた側の名前と印 |
注文請書に印紙がいる理由と、どちらが貼るか
印紙税では、名前が「請書」でも、当事者の一方だけが作る書類でも、契約が成り立ったことを証明する書類は「契約書」にあたります。注文請書は、注文を受けたことを証明する書類なので、「請負に関する契約書」(第2号文書)として印紙が必要です。
印紙を貼るのは、その書類を作った人です。注文請書は下請が作って元請に渡すので、下請の側が貼ります。
一方、注文書は申し込みの書類なので、原則として印紙はいりません。ただし、次のような注文書は契約書として扱われ、印紙が必要になることがあります。
| 印紙がいる注文書の例 | 中身 |
|---|---|
| 基本契約にもとづく注文書 | 基本契約書や約款で、注文書を出せば自動的に契約が成り立つと決めている場合(別に請書を出すと書いてあれば除く) |
| 見積書にもとづく注文書 | 相手の見積書をもとに出す注文書(別に請書を出すと書いてあれば除く) |
| 双方が署名・押印した注文書 | 頼む側と受ける側の両方の署名か押印がある場合 |
注文請書の印紙の金額(建設工事の軽減措置)
建設工事の請負に関する契約書で、契約金額が100万円を超えるものは、2027年(令和9年)3月31日までに作る分について、印紙の額が軽くなっています。注文請書もこの対象です。
| 契約金額 | 本来の額 | 軽減後の額 |
|---|---|---|
| 1万円未満 | 非課税 | 非課税 |
| 1万円以上100万円以下 | 200円 | 200円(軽減なし) |
| 100万円超200万円以下 | 400円 | 200円 |
| 200万円超300万円以下 | 1,000円 | 500円 |
| 300万円超500万円以下 | 2,000円 | 1,000円 |
| 500万円超1,000万円以下 | 1万円 | 5,000円 |
| 1,000万円超5,000万円以下 | 2万円 | 1万円 |
| 5,000万円超1億円以下 | 6万円 | 3万円 |
| 金額の書いていないもの | 200円 | 200円 |
建設工事以外の仕事(設計など)が一緒に書かれていても、建設工事の請負の契約書であれば全体が軽減の対象です。
軽減措置の期限は、2027年3月31日までに「作った」注文請書です。相手に渡す書類は、渡したときが作ったときになります。2027年4月1日以降に渡す分は、延長が決まらなければ本来の額に戻ります。たとえば契約金額400万円の注文請書なら、今は1,000円ですが、本来の額では2,000円です。年度をまたぐ工事で注文請書を出すときは、渡す日にも気をつけてください。
注文請書の印紙の計算機
- 印紙の額を判断する金額
- 貼る印紙(2027年3月31日までに作る分・軽減後)
- 本来の額(2027年4月1日以降に作る分。延長が決まらなければ)
消費税の書き方で印紙の額が変わる
注文請書に消費税額がはっきり分けて書いてあれば、印紙の額は税抜の金額で決まります。「請負金額1,100万円(税込)」のように税込の額だけを書くと、1,100万円で判断されます。
| 書き方 | 判断する金額 | 軽減後の印紙 |
|---|---|---|
| 請負金額1,100万円 うち消費税額100万円 | 1,000万円 | 5,000円 |
| 請負金額1,100万円 税抜1,000万円 | 1,000万円 | 5,000円 |
| 請負金額1,100万円(税込) | 1,100万円 | 1万円 |
ただし、インボイスに登録していない免税事業者の一人親方は、消費税額を分けて書いても税込の額で判断されます。
注文請書に印紙がいらない場合
| 場合 | 理由 |
|---|---|
| 契約金額が1万円未満 | 非課税 |
| 材料などの物を売るだけの注文請書(1回きりの売買) | 請負ではなく売買なので、課税文書にあたらない(続けて売るための基本契約書は第7号文書になることがある) |
| 注文請書をPDFにしてメールで送るだけ | 紙の現物を渡していないので、課税文書を作ったことにならない(ファクシミリも同じ) |
請負か売買かは、仕事を完成させることと、物の持ち主を移すことのどちらに重きがあるかで決まります。PDFで送ったあとに、同じ注文請書の紙を持って行ったり郵送したりすると、その紙に印紙が必要です。元請が使っている電子契約のサービスでやりとりする場合も、紙の現物を渡さない点は同じです。扱いに迷うときは、税務署で確かめてください。
消印と割印の違い
印紙税のきまりで求められているのは、印紙と書類にまたがって押す「消印」です。印鑑か署名で消します。消印をしないと、その印紙の額と同じ額の過怠税がかかります。印紙を貼り忘れると、本来の額の3倍の過怠税がかかり、調査の前に自分から申し出れば1.1倍に軽くなります。割印は、2通の書類が対になっていることを示すために押すもので、印紙の消印とは別のものです。
反対に、必要な額より多く貼ってしまった場合や、印紙のいらない書類に貼ってしまった場合は、税務署に申請すれば払いすぎた分が戻ります。申請には、その書類の現物を見せる必要があります。
印紙の扱いで判断に迷うときは、税理士や税務署で確かめてください。注文請書を返したあとの請求書の書き方は → 建設業の請求書 にまとめています。
建設業の請求事務を任せたいとき
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出典
- 国税庁 タックスアンサー No.7108(建設工事の請負に関する契約書の印紙税の軽減措置) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7108.htm
- 国税庁 タックスアンサー No.7102(請負に関する契約書の印紙税額) https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7102.htm
- 国税庁「No.7117 契約書の意義」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7117.htm
- 国税庁「No.7118 申込書、注文書、依頼書等と表示された文書の取扱い」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7118.htm
- 国税庁「No.7124 消費税額等が区分記載された契約書等の記載金額」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7124.htm
- 国税庁「No.7131 印紙税を納めなかったとき」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7131.htm
- 国税庁「No.7130 誤って納付した印紙税の還付」 https://www.nta.go.jp/taxes/shiraberu/taxanswer/inshi/7130.htm
- 福岡国税局 文書回答事例(注文請書を電子メールで送信した場合の印紙税の取扱い) https://www.nta.go.jp/about/organization/fukuoka/bunshokaito/inshi_sonota/081024/02.htm
- 国税庁 質疑応答事例(印紙税)「請負と売買の区分」 https://www.nta.go.jp/law/shitsugi/inshi/12/02.htm
- e-Gov法令検索「印紙税法」第3条、「建設業法」第19条 https://laws.e-gov.go.jp/