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一人親方の請求書の書き方|必要な項目・手書き・常用と請負の書き分け

一人親方の請求書とは

一人親方の請求書は、仕事をもらった上位会社に、その月にやった仕事の代金を払ってもらうための書類です。宛先は、元請から直接仕事をもらっていれば元請、二次・三次の下請として入っていれば、すぐ上の会社になります。月末などの締め日までの分をまとめて、上位会社が決めた必着日までに出すのが普通で、必着日に間に合わないと支払いが翌月に回ってしまう上位会社も少なくありません。

上位会社によっては「指定請求書」があり、書式や出し方(紙・FAX・メール・上位会社のシステム)が決まっています。指定があればそれに合わせ、指定がなければ自分の書式で出します。どちらの場合でも書くべき中身はほぼ同じなので、この記事では、指定がないときに自分で作る請求書を例に説明します。

請求書に書く項目

請求書の様式は法令で決まっていないので、必要なことが書いてあれば、市販の用紙でも、Excel でも、手書きでも請求書として使えます(出典:国税庁 インボイスQ&A 問25)。インボイス(適格請求書)発行事業者に登録している一人親方は、国税庁が示している次の記載事項を入れます。

記載事項書き方の例
受け取る相手の名前株式会社〇〇工業 御中
自分の名前と登録番号山田太郎(屋号があれば屋号も)、T+13桁の登録番号
取引した日2026年10月1日〜10月31日分
取引の内容〇〇様邸新築工事 大工工事(常用)
税率ごとの合計額と税率10%対象 409,000円
税率ごとの消費税額消費税(10%)40,900円

(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)

建設の請求書では、ほかに次の項目も入れておくと、上位会社の事務の方が迷わず処理できます。

項目書き方の例入れる理由
請求日2026年10月31日締め日との関係が分かる
現場名〇〇様邸新築工事(〇〇市)上位会社は現場ごとに原価を分けて管理している
明細人工数・人工単価・残業、または契約金額・出来高金額の根拠が分かる
振込先銀行名・支店名・種類・口座番号・口座名義(カナ)書いていないと支払いが止まる
支払期日取り決めのとおり(例:翌月末)取り決めがあれば書く
請求書番号2026-10-01問い合わせのときに話が早い

現場が2つ以上ある月は、現場ごとに請求書を分けるか、1枚の中で現場ごとに小計を出すのが一般的です。上位会社が現場ごとの請求書を求めているなら、それに合わせます。

インボイスに登録していない一人親方の書き方

インボイスに登録していない(免税事業者のまま)の一人親方も、これまでどおり請求書は出せます。違うのは、登録番号を書けないことです。T から始まる登録番号に似た番号を書いたり、ほかの人の登録番号を自分のものとして書いたりすると、インボイスと誤解させる書類として罰則の対象になります(出典:国税庁 インボイスQ&A 問26-2)。

消費税にあたる金額を請求書に書くこと自体は、インボイスと誤解されるような書き方でなければ、基本的に罰則の対象にはなりません(同 問26-2)。消費税の分を請求するかどうか、いくらにするかは上位会社との取り決めの話なので、→ 一人親方の請求のよくある疑問 でくわしく書いています。

上位会社のほうは、登録していない一人親方への支払いでも、帳簿と請求書を決まった形で残せば、消費税の一部を差し引ける経過措置があります。差し引ける割合は時期によって変わり、2026年10月1日から段階的に下がっています(出典:国税庁 インボイスQ&A 問113、国税庁「令和8年10月1日からインボイス制度に係る経過措置が変わります」)。

支払いの時期上位会社が差し引ける割合
2023年10月1日〜2026年9月30日80%
2026年10月1日〜2028年9月30日70%
2028年10月1日〜2030年9月30日50%
2030年10月1日〜2031年9月30日30%

この経過措置を使うために、上位会社は次のことが書かれた請求書を残す必要があります(出典:国税庁 インボイスQ&A 問113)。登録していない一人親方の請求書も、この5つを入れておくと上位会社の手間が減ります。

記載事項書き方の例
書類を作った人の名前山田太郎
取引した日2026年10月1日〜10月31日分
取引の内容〇〇様邸新築工事 大工工事(常用)
税率ごとの税込の合計額10%対象 449,900円(税込)
受け取る相手の名前株式会社〇〇工業 御中

手書きの請求書でもいいか

手書きでもかまいません。先に書いたとおり請求書の様式は決まっていないので、文房具店で売っている複写式の請求書用紙に書いても、白い紙に書いても、必要な項目がそろっていれば請求書になります。手書きで出すときは、控えを必ず手元に残しておくことと、数字を書き間違えたときに直した跡だらけにせず書き直すことを気をつけておくと、あとで上位会社とのやりとりがこじれません。

控えは、複写式の用紙ならそのまま、そうでなければ出す前にスマホで撮っておくだけでも違います。個人事業主は、請求書などの書類を原則5年間保存することになっています(出典:国税庁 タックスアンサー No.2080、No.2070)。インボイスに登録している一人親方は、出したインボイスの控え(写し)を7年間保存します(出典:国税庁 インボイスQ&A 問79)。

毎月同じ上位会社に同じような請求書を出すなら、Excel のひな形に数字を入れるほうが計算の間違いも減ります。下のひな形は、手で書く場合の見本としても使えます。

印鑑は押すか

請求書に印鑑を押さなければならない決まりはなく、インボイスの記載事項にも印鑑は入っていません(出典:国税庁「インボイス制度の概要」)。ただ、上位会社が「認印か角印を押したもの」と決めている場合や、指定請求書に押印欄がある場合は、それに合わせて押します。屋号のある一人親方なら、屋号の角印を作っておくと、こうした上位会社にもそのまま出せます。

常用と請負で書き方が変わるところ

一人親方の請求で迷いやすいのが、常用(日当で働いた分)と請負(仕事を丸ごと請けた分)の書き分けです。同じ上位会社でも現場によって両方ある月は、明細を分けて書きます。

常用請負
金額の決め方人工単価 × 人工数(+残業・夜間・休日の割増)契約金額。月ごとに払う約束なら、その月の出来高
根拠になるもの出面表・日報注文書・注文請書・内訳書
明細の書き方「大工工事(常用)18人工 × 22,000円」「内装工事一式」または内訳の項目ごとの出来高
くわしく→ 常用の請求書の書き方→ 出来高の請求書の書き方

常用の人工数は、上位会社が持っている出面と合っていないと、問い合わせが来て支払いが遅れます。人工単価や残業の単価の決め方は → 人工代とは で書いています。

記入例

大工の一人親方が、10月に1つの現場で常用で入った分を、インボイスに登録している場合の例です。人工単価22,000円で18人工、残業は取り決めで1時間3,000円、駐車場代は実費で上位会社に払ってもらう約束、という前提で計算しています。

内容数量単価金額
〇〇様邸新築工事 大工工事(常用) 10/1〜10/3118人工22,000円396,000円
残業3時間3,000円9,000円
駐車場代(実費)1式4,000円4,000円
小計(10%対象)409,000円
消費税(10%)40,900円
合計449,900円

消費税は、明細の行ごとに計算して足すのではなく、1枚の請求書の10%対象の合計に対して1回だけ計算し、端数を処理します(出典:国税庁 インボイスQ&A 問57)。

インボイスに登録していない場合は、登録番号を入れず、上の「書類を作った人の名前・取引した日・内容・税率ごとの税込の合計額・受け取る相手の名前」が分かる形にします。消費税にあたる分をどう書くかは、上位会社との取り決めに合わせてください。

出す前に確かめること

確かめること見るところ
人工数が合っているか自分の出面と、上位会社の出面(職長さんがつけているもの)
宛名が合っているか元請ではなく、仕事をもらったすぐ上の会社になっているか
締め日の分になっているか締め日をまたいだ日を入れていないか
計算が合っているか人工単価 × 人工数、小計、消費税、合計
振込先が書いてあるか口座名義のカナまで
指定請求書があるかある上位会社には、自分の書式ではなく指定の書式で
控えを残したか複写の控えか、スマホの写真

締め日と支払いの決まり

締め日と必着日は上位会社ごとに違うので、仕事を始めるときに、何日締めで、何日までに、どこへ(紙・FAX・メール・システム)出せばよいか、支払いはいつかを聞いておきます。

支払いの期限については、建設業法に決まりがあります。上位会社(建設業法でいう元請負人。すぐ上の会社もこれにあたります)が、その上の注文者から出来形部分の支払いや完成後の支払いを受けたときは、その工事をした下請に、支払いを受けた日から1か月以内で、できる限り短い期間内に払わなければならないとされています。あわせて、下請代金のうち労務費にあたる分は現金で払うよう配慮することも決められています(出典:建設業法 第24条の3)。

請求書の書き方全体や、元請・上位会社の指定請求書の扱いは → 建設業の請求書の書き方 でもまとめています。

建設業の請求事務を任せたいとき

RY consulting は、一人親方や小さな専門工事会社の請求書づくりを代わりに引き受けています。出面を LINE で撮って送っていただくだけで、手書きの出面表でも大丈夫です。元請・上位会社の指定の書式があればその書式で、なければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用も出来高も扱い、出来高は社長に進み具合を伺って、前回までの請求額の管理と計算はこちらで行います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LP の料金の欄で全部わかります。契約期間の縛りはありません。

出典

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