経審(経営事項審査)とは?公共工事を直接請けるときに必要な審査の点数・有効期間・結果の検索
「経審」は、公共工事に関わる建設業者の間でよく出てくる言葉です。下請の仕事が中心の会社にはあまり縁がないようでいて、元請として市や県の工事を請けたいと考えたときに、最初に必要になるのがこの審査です。このページでは、経審が何のための審査か、点数はどう決まるのか、有効期間と毎年の流れ、結果の調べ方を書きます。制度の内容は2026年10月29日時点のものです。
経審(経営事項審査)とは
経審は、正式には「経営事項審査」といい、建設業者の経営の状況や規模、技術力などを数字で評価する審査です。建設業法にもとづく制度で、国・都道府県・市区町村などが発注する公共工事を、発注者から直接請けようとする建設業者は、経審を受けておく必要があります。
| 経審がいるか | 場面 |
|---|---|
| いる | 公共工事を元請として直接請ける(1件500万円以上、建築一式は1,500万円以上) |
| いらない | 公共工事の下請として入る |
| いらない | 民間の工事だけを請ける |
| いらない | 緊急性の高い災害の応急工事 |
公共工事の現場でも、二次・三次の下請として入るだけなら、経審は受けなくてかまいません。経審を受けるには、建設業許可を持っていることが前提になります。
下請の仕事が中心の専門工事会社が経審を考えるのは、市や町の小さな修繕工事などを元請として請けてみたいときです。公共工事は代金の支払が確かで、仕事の波をならす助けになる、と考える社長のお話もよく伺います。一方で、毎年の決算変更届と経審の手続きが続くので、事務の手間とあわせて考える必要があります。
経審の点数(P点)の出し方
経審の結果は、「総合評定値(P点)」という点数で表されます。P点は、建設工事の種類(業種)ごとに、次の5つの評点を組み合わせて出します。
| 評点 | 中身 | 重み |
|---|---|---|
| X1(経営規模) | 業種ごとの年間平均完成工事高 | 0.25 |
| X2(経営規模) | 自己資本額、利払前税引前償却前利益 | 0.15 |
| Y(経営状況) | 純支払利息比率、負債回転期間、自己資本比率など8つの指標 | 0.20 |
| Z(技術力) | 業種ごとの技術職員数、元請完成工事高 | 0.25 |
| W(社会性等) | 担い手の育成・確保、営業年数、防災活動、法令遵守、建設機械の保有など | 0.15 |
P点 = 0.25×X1 + 0.15×X2 + 0.20×Y + 0.25×Z + 0.15×W
このうちY点は、決算書の数字から8つの指標を計算して出すので、決算の内容がそのまま点数に表れます。X1とZは業種ごとに数えるので、同じ会社でも業種によってP点が変わります。
P点は、自治体が入札に参加できる会社を決めたり、会社をランク分けしたりするときに使われます。どう使うかは発注する国・自治体ごとに決めているので、入札に参加したい自治体の入札参加資格の案内で確かめます。
経審の流れと有効期間
経審は、2つの審査を受けて、その結果からP点を出してもらう流れです。
| 順番 | 手続き | 申請先 |
|---|---|---|
| 1 | 決算変更届を出す | 許可行政庁 |
| 2 | 経営状況分析(Y点)を受ける | 国土交通大臣の登録を受けた登録経営状況分析機関 |
| 3 | 経営規模等評価(X・Z・W)を受け、総合評定値(P点)を請求する | 許可行政庁 |
| 4 | 結果通知書を受け取り、自治体の入札参加資格の申請をする | 発注する国・自治体 |
経審の審査基準日は、原則として、申請する日の直前の決算日です。結果通知書が有効なのは、審査基準日から1年7か月の間です。結果通知書を受け取った日から数えるのではない点に注意が必要です。
公共工事を毎年続けて請けたい会社は、有効期間が途切れないように、決算のたびに経審を受け直す必要があります。目安は決算から4か月以内で、その前に決算変更届を出しておきます。1年7か月という期間は、1年分の決算に、決算から経審の結果が出るまでの数か月を足した長さになっていて、毎年きちんと受けていれば、前の年の結果と新しい結果がつながるようになっています。
経審の結果の検索と見方
経審の結果は公表されていて、ほかの会社の点数も調べられます。建設業の情報を扱う一般財団法人 建設業情報管理センター(CIIC)のホームページに「経審結果の公表」の入口があり、ここから会社ごとの結果を検索できます。CIICは、Y点の経営状況分析を行う登録経営状況分析機関でもあります(登録番号1)。
結果を見るときは、次のところを見ておきます。
| 見るところ | 意味 |
|---|---|
| 審査基準日 | どの決算の数字で審査したか。古すぎないか |
| 業種ごとのP点 | 入札に参加したい業種の点数 |
| X1・Z | 完成工事高と技術職員。業種ごとに差が出やすい |
| Y | 決算書の数字から出る経営状況 |
| W | 担い手の育成、営業年数、防災活動、建設機械など |
同じ地域・同じ業種の会社と比べると、自社の点数がどのあたりにあるかがわかります。点数を上げる方法は、技術職員の資格の取得、決算の内容の見直しなど会社ごとに違うので、行政書士や税理士で確かめてください。
経審でよく聞かれること
| 疑問 | 答え |
|---|---|
| 新しく会社をつくった・開業したばかりでも受けられる? | 受けられる。新設法人は設立日、新しく開業した個人事業主は創業日が審査基準日になる |
| 決算を過ぎてから、前の年の決算で受けられる? | 受けられない。新しい決算日を迎えたあとは、前の審査基準日では審査を受けられない |
| 業種ごとに受ける? | P点は業種ごとに出る。入札に参加したい業種について審査を受ける |
| 結果通知書が届くまで待てば有効期間も延びる? | 延びない。有効期間は審査基準日から数える |
| 経審の申請にお金はかかる? | 経営状況分析、経営規模等評価の申請、総合評定値の請求のそれぞれに手数料がかかる |
合併や事業の譲り受けがあった場合は、審査基準日が別の日になることがあるので、許可行政庁に前もって相談するよう案内されています。
経審を受けるために毎年そろえておくもの
経審のX1・Zには、業種ごとの完成工事高や元請の完成工事高が入ります。もとになるのは、決算変更届に付ける工事経歴書と、毎月の請求書の控えです。工事ごとに、元請か下請か、どの業種の工事か、いくらで完成したかがすぐ拾えるようにしておくと、決算のあとの準備が早く終わります。
→ 出来高の請求書の書き方 では、工事の進み具合に合わせて請求するときの書き方をまとめています。
建設業の請求事務を任せたいとき
RY consulting は、一人親方・小さな専門工事会社の毎月の請求書づくりを代わりに引き受けています。出面をLINEで撮って送っていただくだけで、手書きの出面表でも大丈夫です。元請・上位会社の指定の書式があればその書式で、なければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用も出来高も扱います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LPの料金の欄を見れば全部わかります。契約期間の縛りはありません。
出典
- 国土交通省 関東地方整備局「経営事項審査制度の概要について」 https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/kensan00000013.html
- 愛知県「経営事項審査制度について」 https://www.pref.aichi.jp/soshiki/toshi-somu/keishin-seido.html
- 一般財団法人 建設業情報管理センター(CIIC) https://www.ciic.or.jp/
- 国土交通省「建設業の許可について」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html