決算変更届とは?建設業許可業者が毎年出す届出の期限・必要書類と、出さないとどうなるか
建設業許可を取ったあと、毎年必ず出すことになるのが決算変更届です。許可を取るときに頼んだ行政書士から聞いてはいたものの、2年目以降に出し忘れていた、というお話もよく伺います。このページでは、決算変更届が何のための届出か、いつまでに何を出すのか、出さないとどうなるのかを書きます。制度の内容は2026年10月29日時点のものです。
決算変更届とは
決算変更届は、建設業許可を持っている会社・個人事業主が、事業年度が終わるたびに、その年の工事の実績と決算の内容を許可を受けた行政庁に届け出るものです。建設業法第11条で決められていて、様式は「変更届出書」で、事業年度終了の届出として出します。「決算報告」「事業年度終了届」と呼ぶ都道府県もあります。商号や役員、営業所などが変わったときにも、そのつど変更届を出しますが、決算変更届はそれとは別に、変わったことがなくても毎年出すものです。
工事をしなかった年や赤字の年でも、許可を持っている限り毎年出す必要があります。公共工事を元請として請けるための経審(経営事項審査)を受ける会社は、経審の申請の前に決算変更届を出しておく必要があるので、毎年の決算のあとの手続きの最初に来るものでもあります。
決算変更届はいつまで?
期限は、事業年度が終わってから4か月以内です。
| 決算の時期 | 決算変更届の期限 |
|---|---|
| 個人事業主(12月31日で締める) | 4月30日まで |
| 3月決算の法人 | 7月31日まで |
| 9月決算の法人 | 1月31日まで |
税の申告のあとに準備を始めれば、決算書と納税証明書がそろうので間に合います。
決算変更届の必要書類
書類の名前や部数は都道府県によって少し違います。三重県・神奈川県が示している主な書類は次のとおりです。
| 書類 | 法人 | 個人 |
|---|---|---|
| 変更届出書(事業年度終了) | ○ | ○ |
| 工事経歴書(様式第2号) | ○ | ○ |
| 直前3年の各事業年度における工事施工金額(様式第3号) | ○ | ○ |
| 貸借対照表・損益計算書 | ○(法人用の様式) | ○(個人用の様式) |
| 完成工事原価報告書・株主資本等変動計算書・注記表 | ○ | — |
| 事業報告書 | 株式会社のみ | — |
| 納税証明書 | 知事許可は事業税、大臣許可は法人税 | 知事許可は事業税、大臣許可は所得税 |
様式は、許可を受けた都道府県(大臣許可は地方整備局)のホームページからダウンロードできます。税務署に出した決算書をそのまま付けるのではなく、建設業法で決められた様式に書き直す必要がある点に気をつけてください。部数も、三重県なら正本1部と副本2部(写しでよい)のように、行政庁ごとに決まっています。
工事経歴書の書き方のもとになるもの
決算変更届でいちばん手間がかかるのが工事経歴書です。許可を受けている業種ごとに、その年に完成した工事を、注文者、元請・下請の別、工事名、現場のある都道府県・市区町村、配置した技術者、請負代金、工期などを書いて並べます。
| 工事経歴書の欄 | もとになる資料 |
|---|---|
| 注文者・工事名・現場 | 注文書・契約書、請求書の控え |
| 元請・下請の別 | 注文書の発注者 |
| 請負代金の額 | 請求書の控え、入金の記録 |
| 工期 | 注文書、出面の記録 |
| 配置技術者 | 現場ごとの施工体制の書類 |
毎月の請求書を現場ごとに整理して残しておくと、1年分の工事経歴書を作るときに、注文者・金額・工期をそのまま拾えます。逆に、請求書の控えがばらばらだと、ここで何日もかかります。書き方の細かい決まり(どの工事から順に書くか、何件まで書くかなど)は、許可行政庁の手引きに書かれているので、それに合わせてください。
もうひとつの「直前3年の各事業年度における工事施工金額」は、許可業種ごとに、元請と下請に分けて、3年分の完成工事の金額を並べる書類です。前の年に出した決算変更届の数字を引き継いで、新しい年の分を足していくので、毎年きちんと出していれば作るのは難しくありません。
決算変更届を出すまでの流れ
| 順番 | すること | 目安の時期(3月決算の法人) |
|---|---|---|
| 1 | 1年分の請求書の控え・注文書を現場ごとにそろえる | 4月 |
| 2 | 税理士に決算書を作ってもらい、税の申告をする | 5月 |
| 3 | 納税証明書を取る | 6月 |
| 4 | 決算書を建設業の様式(貸借対照表・損益計算書など)に書き直す | 6月 |
| 5 | 工事経歴書・工事施工金額を作る | 6月 |
| 6 | 許可行政庁に出し、控えを保管する | 7月31日まで |
1と5は毎月の請求書の整理がそのまま効いてくるところで、ここが片づいていれば、残りは決算書と納税証明書を待つだけになります。出した決算変更届の控えは、次の年の工事施工金額や、5年後の更新の申請で使うので、なくさないように保管しておきます。
→ 建設業の請求書の書き方 では、現場ごとに請求書を分けて作るときの書き方をまとめています。
決算変更届を出さないとどうなる?
| 出していないと | 内容 |
|---|---|
| 許可の更新ができない | 東京都は、必要な届出が出ていない状態では更新申請・業種追加の申請はできないとしている |
| 経審が受けられない | 公共工事を直接請けるための経営事項審査の前に、決算変更届を出しておく必要がある |
| 罰則の対象になる | 建設業法第50条に罰則がある |
いちばん困るのは更新のときです。許可の有効期間は5年で、満了の30日前までに更新の申請をします。そのときに5年分の決算変更届がそろっていないと、まとめて出すまで更新の申請が進みません。期限ぎりぎりで気づくと、許可が切れてしまうおそれもあります。
公共工事をしない会社でも、許可が切れると500万円以上(建築一式は1,500万円以上)の工事を請けられなくなります。元請から許可を求められている専門工事会社にとっては、取引そのものに関わります。決算のたびに出しておくのがいちばん手間がかかりません。
決算変更届は自分で出せる?
自分で出すこともできますし、行政書士に頼むこともできます。
| 出し方 | 向いている場合 |
|---|---|
| 自分で出す | 工事の件数が少なく、決算書が整っている。手引きを読む時間がとれる |
| 行政書士に頼む | 工事の件数が多い、許可業種が多い、更新や経審も一緒に頼みたい |
自分で出す場合は、許可行政庁の手引きと記入例を見ながら作り、許可行政庁に出します。提出のしかたや部数は都道府県ごとに違うので、許可を受けた行政庁のホームページで確かめてください。決算書の数字を建設業の様式に置き換えるところで迷う場合は、税理士・行政書士で確かめてください。
建設業の請求事務を任せたいとき
RY consulting は、一人親方・小さな専門工事会社の毎月の請求書づくりを代わりに引き受けています。出面をLINEで撮って送っていただくだけで、手書きの出面表でも大丈夫です。元請・上位会社の指定の書式があればその書式で、なければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用も出来高も扱います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LPの料金の欄を見れば全部わかります。契約期間の縛りはありません。
出典
- 国土交通省「建設業の許可について」 https://www.mlit.go.jp/totikensangyo/const/1_6_bt_000080.html
- 三重県「決算変更届の提出について」 https://www.pref.mie.lg.jp/KENGYO/HP/m0158300122.htm
- 神奈川県「許可後の手続き」 https://www.pref.kanagawa.jp/docs/u2h/cnt/f531856/p18108.html
- 東京都都市整備局「建設業許可申請の手引 Ⅲ 許可後に必要な手続(変更届・廃業届等)」 https://www.toshiseibi.metro.tokyo.lg.jp/documents/d/toshiseibi/pdf_kenchiku_kensetsu_pdf_tebiki_1504_kensetsu_tebiki05
- 国土交通省 関東地方整備局「経営事項審査制度の概要について」 https://www.ktr.mlit.go.jp/kensan/kensan00000013.html