職長教育と安全衛生責任者教育|誰が受けるか、14時間の中身、おおむね5年ごとの能力向上教育
職人さんを職長として現場に出すときや、元請・上位会社から安全衛生責任者を出すよう言われたときに、「職長教育と安全衛生責任者教育は同じものか」「5年たったら受け直すのか」と迷うお話をよく伺います。このページでは、職長教育と安全衛生責任者教育の違い、誰が何時間受けるのか、5年ごとの能力向上教育について書きます。制度の内容は2026年10月29日時点のものです。
職長教育とは
職長教育は、新しく職長になる人に、会社が行わなければならない安全衛生の教育です。労働安全衛生法で決まっていて、建設業は対象の業種に入っています。
ここでいう職長は、現場で作業中の職人さんを直接指導・監督する人のことです。肩書きが「職長」でなくても、班長やリーダーとして職人さんを指揮していれば対象になります。作業主任者は、別に技能講習などの資格があるので除かれます。
職長教育で教える中身と時間は、労働安全衛生規則で決まっていて、合計12時間です。
| 教える中身 | 時間 |
|---|---|
| 作業手順の決め方、職人さんの配置の仕方 | 2時間 |
| 指導・教育の仕方、作業中の監督・指示の仕方 | 2.5時間 |
| 危険性・有害性の調べ方と、その結果にもとづく対策、設備や作業の具体的な改善の仕方 | 4時間 |
| 異常のとき・災害が起きたときの対応 | 1.5時間 |
| 設備・作業場所の保守管理、災害防止への関心を保たせる方法、職人さんの工夫を引き出す方法 | 2時間 |
すでに十分な知識と技能があると認められる人は、その中身を省略できます。
安全衛生責任者とは
安全衛生責任者は、元請が統括安全衛生責任者を置かなければならない現場で、下請の会社が1人ずつ選ぶ人です。元請の統括安全衛生責任者との連絡役になり、自分の会社の職人さんに元請からの話を伝えます。
安全衛生責任者になるための資格は、法律では決まっていません。ただ、建設業では職長が安全衛生責任者を兼ねることが多いので、職長としての仕事に加えて、安全衛生責任者としての仕事もこなせるようにしておく必要があります。
職長・安全衛生責任者・作業主任者の違い
現場では、職長・安全衛生責任者・作業主任者の3つがよく一緒に出てきます。同じ職人さんが兼ねることも多いのですが、決まりはそれぞれ別です。
| 比べるところ | 職長 | 安全衛生責任者 | 作業主任者 |
|---|---|---|---|
| どんな人 | 作業中の職人さんを直接指導・監督する人 | 元請の統括安全衛生責任者との連絡役 | 決められた危ない作業を指揮する人 |
| 誰が決める | 各会社 | 下請の各会社が1人ずつ選ぶ | 各会社が選ぶ |
| なるための条件 | 職長教育を受けさせる(法律で義務) | 法律で決まった資格はない(教育は努力) | 技能講習の修了や免許 |
| 例 | 職長、班長 | 下請の職長が兼ねることが多い | 足場の組立て等、型枠支保工、地山の掘削 |
職長教育は、運転免許のような国の資格ではありません。会社が、職長になる人に受けさせる教育です。「職長教育という資格を取る」というより、「職長として現場に出す前に、会社が教育を済ませておく」と考えるとわかりやすくなります。作業主任者の技能講習については → 技能講習の一覧 にまとめています。
職長教育と安全衛生責任者教育はあわせて14時間
建設業では、職長教育に安全衛生責任者の教育を足した「職長・安全衛生責任者教育」が、国の通達のカリキュラム(2006年)で示されています。安全衛生団体などの講習会で行われているのはこの形で、時間は合わせて14時間です。
| 教育 | 時間 | 決まり方 |
|---|---|---|
| 職長教育 | 12時間 | 法律で義務(建設業は対象の業種) |
| 安全衛生責任者教育 | 2時間 | 通達で、受けさせるよう努めることとされている |
| 合計(職長・安全衛生責任者教育) | 14時間 | 安全衛生団体などの講習会で受けられる |
社内に教えられる人がいないときは、安全衛生団体などの講習会を受けさせることができます。どちらで受けた場合も、受けた日と講習の名前は、職人さんごとに控えておきます。元請・上位会社に出す書類で職長や安全衛生責任者を書くときも、この控えがあれば、受けた日をすぐに書けます。
| 控えておくこと | 例 |
|---|---|
| 職人さんの名前 | 職長に出す人ごとに1行 |
| 受けた教育 | 職長・安全衛生責任者教育(14時間) |
| 受けた日 | 2026年10月15日・16日 |
| 行った団体・講師 | 講習会の団体名、または社内の講師の名前 |
| 能力向上教育を受けた日 | 受けたら書き足す |
職長教育は、新しく職長の仕事につくときに受けさせるものです。職長として現場に出してしばらくたってから受けさせるのではなく、職長を任せるときに済ませておきます。新しく職長を任せる職人さんが出てきたら、講習会の日程を先に押さえてから、現場の割り振りを決めると段取りが崩れません。
職長教育の5年ごとの能力向上教育(再教育)
国の通達(2017年)では、職長や安全衛生責任者の仕事についた人に、おおむね5年ごと、または機械・設備が大きく変わったときに、能力向上教育を受けさせるよう求めています。中身と時間は次のとおりで、合計340分(5時間40分)です。
| 中身 | 時間 |
|---|---|
| 職長・安全衛生責任者として行う労働災害の防止 | 120分 |
| 職人さんへの指導・監督の仕方 | 60分 |
| 危険性・有害性の調べ方など | 30分 |
| グループ演習(災害の事例研究、危険予知活動などから1つ以上) | 130分 |
厚生労働省は、元請に対して、自分の現場に入る職長や安全衛生責任者が、はじめの教育と能力向上教育を受けているかを確かめるよう求めています。下請の会社も、自分の会社の職長に受けさせることが求められています。
5年たっても受けないとどうなる?
能力向上教育は、免許のように期限が切れて失効するものではありません。通達では「努める」ものとされていて、受けていないことで、はじめの職長教育が無効になるわけではありません。
ただ、元請は入場する職長が受けているかを確かめることになっているので、現場によっては、受けていないと職長として入れてもらえないこともあります。職長教育を受けた日から5年が近い職人さんは、早めに講習の日を押さえておくと、現場の予定に響きません。
| 職人さん | 職長・安責教育を受けた日 | 次の能力向上教育の目安 |
|---|---|---|
| Aさん | 2021年11月 | 2026年11月ごろ |
| Bさん | 2023年6月 | 2028年6月ごろ |
能力向上教育の目安の計算機
次の能力向上教育の目安:
次の能力向上教育の目安:
次の能力向上教育の目安:
おおむね5年ごとのほか、機械・設備が大きく変わったときも能力向上教育の対象です。
建設業の請求事務を任せたいとき
RY consulting は、一人親方・小さな専門工事会社の毎月の請求書づくりを代わりに引き受けています。出面をLINEで撮って送っていただくだけで、手書きの出面表でも大丈夫です。元請・上位会社の指定の書式があればその書式で、なければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用も出来高も扱います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LPの料金の欄を見れば全部わかります。契約期間の縛りはありません。
出典
- 労働安全衛生法 第60条、労働安全衛生法施行令 第19条、労働安全衛生規則 第40条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「安全衛生責任者」 https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo104_1.html
- 厚生労働省「建設業における職長等及び安全衛生責任者の再教育」 https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000152296.html
- 厚生労働省「職長等及び安全衛生責任者の能力向上教育に準じた教育のカリキュラム」 https://www.mhlw.go.jp/content/11300000/001388282.pdf
- 釧路労働基準監督署「職長教育の対象業種が拡大されます」(職長・安全衛生責任者教育の時間) https://jsite.mhlw.go.jp/hokkaido-roudoukyoku/content/contents/001474205.pdf