雇い入れ時健康診断|職人さんを雇うときの11項目、費用は誰が持つか、3か月以内の診断書で代えられる場合と記録
新しく職人さんを雇うとき、「前に受けた健康診断の結果で足りるのか」「費用はこちらで持つのか」と迷うお話をよく伺います。このページでは、雇い入れ時健康診断(雇入時健康診断、読み方は「やといいれじ けんこうしんだん」)の対象になる人、項目、費用、3か月以内の診断書で代えられる場合、記録の残し方を書きます。制度の内容は2026年10月29日時点のものです。
雇い入れ時健康診断とは
雇い入れ時健康診断は、常時使用する労働者を雇い入れるときに、会社が医師による健康診断を行わなければならないという決まりです。労働安全衛生規則で決まっていて、業種や会社の大きさにかかわりません。職人さんが1人の会社でも、雇うときには必要です。
パートやアルバイトで雇う職人さんも、次の両方にあてはまれば対象です。
| 条件 | 中身 |
|---|---|
| 雇う期間 | 期間の定めがない、または更新して1年以上使う予定・すでに1年以上使っている |
| 働く時間 | 1週間の所定労働時間が、同じ仕事をするふつうの職人さんの4分の3以上 |
1週間の所定労働時間がふつうの職人さんのおおむね2分の1以上なら、行うことが望ましいとされています。
請負で現場に入ってもらう一人親方は、雇い入れではないので、この決まりの対象ではありません。ただ、労働者にあたるかどうかは、契約の名前ではなく、指示の受け方や働く時間の決まり方など、働き方の実態で判断されます。どちらにあたるか迷うときは、労働基準監督署や社労士に確かめてください。
雇い入れ時健康診断の項目(11項目)
| 項目 | 中身 |
|---|---|
| 1 既往歴・業務歴 | これまでの病気や、どんな仕事をしてきたか |
| 2 自覚症状・他覚症状 | 本人の訴えと、医師の診察 |
| 3 身長・体重・腹囲・視力・聴力 | 聴力は1,000Hzと4,000Hzの音 |
| 4 胸部エックス線 | 胸のレントゲン |
| 5 血圧 | 血圧の測定 |
| 6 貧血 | 血色素量・赤血球数 |
| 7 肝機能 | GOT・GPT・γ-GTP |
| 8 血中脂質 | LDL・HDLコレステロール、中性脂肪 |
| 9 血糖 | 血糖の検査 |
| 10 尿 | 尿の中の糖とたんぱく |
| 11 心電図 | 心電図の検査 |
1年ごとの定期健康診断では、年齢などによって医師の判断で省ける項目がありますが、雇い入れ時健康診断には、医師の判断で省ける項目はありません。
3か月以内に受けた健康診断の結果で代えられる
医師による健康診断を受けてから3か月たっていない人を雇うときは、その人が結果を証明する書類を出せば、同じ項目は省けます。「6か月以内」「1年以内」ではなく、3か月以内です。
前の会社で受けた定期健康診断の結果などは、項目が11項目に足りないことがあります。たとえば心電図や血中脂質が抜けている場合は、足りない項目だけ受けてもらえば済みます。
| 職人さん | 持ってきた結果 | 受けてもらうもの |
|---|---|---|
| Aさん | 2か月前に受けた結果。心電図だけ入っていない | 心電図だけ |
| Bさん | 5か月前に受けた結果。11項目そろっている | 3か月を過ぎているので11項目すべて |
| Cさん | 結果を持っていない | 11項目すべて |
雇い入れ時健康診断の11項目のチェック表
結果に入っている項目にチェックを付けてください。
- 受けてもらうもの
どの場合も、健康診断個人票を作って5年間保存します。
雇い入れ時健康診断はいつまでに受ける?
規則で決まっているのは「雇い入れるとき」に行うことです。雇い入れの手続きとあわせて段取りしておくのが確実です。
| 段取り | すること |
|---|---|
| 雇うと決まったとき | 3か月以内に受けた健康診断の結果があるかを聞く |
| 結果がない・足りないとき | 受ける医療機関と日を決める(会社の近くや、職人さんの住まいの近くなど) |
| 働きはじめるころ | 健康診断を受けてもらい、結果を受け取る |
| 結果を受け取ったら | 個人票を作り、本人に結果を知らせる |
現場の予定が詰まっている時期は、健康診断の日を後回しにしがちです。働きはじめる前に医療機関の予約まで済ませておくと、受けそびれを防げます。
雇い入れ時健康診断の費用は誰が持つ?
健康診断は、法律で会社に行うことが義務づけられているので、費用は会社が持つものとされています。職人さんに費用を出してもらうのではなく、会社が払う前提で段取りをしておきます。受けに行っている時間の賃金も、会社が払うことが望ましいとされています。
| 決まり | 中身 |
|---|---|
| 費用 | 会社が負担するものとされている |
| 受けている時間の賃金 | 会社が払うことが望ましい |
| 費用の額 | 医療機関や項目で違うので、申し込む前に確かめる |
職人さんが自分で受けてきた3か月以内の結果を使う場合に、その費用をどう扱うかは、雇うときの話し合いで決めておくと、あとでもめずに済みます。受けに行った日の半日や1日を、出面の上でどう扱うか(出勤として数えるか)も、あわせて決めておくと、月末の給与や請求の集計で迷いません。出面のつけ方は → 出面・出面表とは にまとめています。
結果を受け取ったあとにすること
| すること | 中身 |
|---|---|
| 健康診断個人票を作る | 結果をもとに個人票を作り、5年間保存する |
| 本人に知らせる | 受けた人全員に、結果を書面で知らせる |
| 医師の意見を聞く | 異常の所見があった人について、仕事の上で必要な対応を医師に聞く |
| 必要な対応をする | 医師の意見をふまえ、作業を替える、労働時間を短くするなど |
雇い入れ時健康診断は、1年ごとの定期健康診断とちがって、労働基準監督署に結果を報告する必要はありません。
個人票は、職人さんが辞めたあとも、5年間は捨てずに保存しておきます。紙で保管する場合は、ほかの書類とまぜずに、職人さんごとのファイルにまとめておくと、あとで探すときに困りません。健康診断の結果は、職人さんの体のことが書かれた大事な個人情報です。見られる人を事務の担当者などにしぼり、鍵のかかる棚にしまうなど、扱いには気をつけます。
定期健康診断との違い
| 比べるところ | 雇い入れ時健康診断 | 定期健康診断 |
|---|---|---|
| いつ | 雇い入れるとき | 1年以内ごとに1回 |
| 項目 | 11項目。医師の判断で省ける項目はない | 同じような項目。年齢などで医師の判断で省けるものがある |
| 3か月以内の結果での代え | できる(同じ項目) | — |
| 労働基準監督署への報告 | いらない | 常時50人以上を使う会社は報告する |
| 個人票の保存 | 5年 | 5年 |
職人さんが多い会社では、雇った日・健康診断を受けた日・個人票の保存の期限を、職人さんごとに一覧にしておくと、5年の保存の期限や、次の定期健康診断の時期を管理しやすくなります。
建設業の請求事務を任せたいとき
RY consulting は、一人親方・小さな専門工事会社の毎月の請求書づくりを代わりに引き受けています。出面をLINEで撮って送っていただくだけで、手書きの出面表でも大丈夫です。元請・上位会社の指定の書式があればその書式で、なければいつもの書式で、現場ごとに請求書をお作りします。常用も出来高も扱います。料金は職人さんの人数に応じたシンプルプランで、LPの料金の欄を見れば全部わかります。契約期間の縛りはありません。
出典
- 労働安全衛生規則 第43条・第51条(e-Gov法令検索) https://laws.e-gov.go.jp/law/347M50002000032
- 高知労働局「健康確保・健康診断関係」 https://jsite.mhlw.go.jp/kochi-roudoukyoku/hourei_seido_tetsuzuki/anzen_eisei/hourei_seido/kenkou01.html
- 厚生労働省 職場のあんぜんサイト「定期健康診断」(健康診断の費用と受診時間の賃金) https://anzeninfo.mhlw.go.jp/yougo/yougo51_1.html